昔懐かしの菓子から人気の秋の味覚まで! 「ぽん菓子屋まこちゃん」のチャレンジャー精神はいくつになっても無限大

新富町働く

新富町の「るぴーモール虹ヶ丘商店街」を舞台に毎月第3日曜に開催される、今年の5月に5周年を迎えた「こゆ朝市」。7月から9月の夏の時期だけは「こゆ夜市」として、夜バージョンに姿を変える。実に3年ぶりに開催した7月17日に行われた夜のイベントには、同町を中心とした宮崎県内の飲食店や団体が20店舗以上出店し、1,000人を超える多くの来場者を迎えた。

久々の“よあそび”に上がるまちのテンション

夕方過ぎでも、外は昼間と変わらずまだまだ明るい17時半頃。

「夜市の開始は18時からになります。それまではお店でのお買い物はお待ち下さい」とスタッフがアナウンスするほど、会場となる商店街周辺は開始前から子どもたちを中心に賑わいはじめていた。

夜市がはじまると人の流れはさらに増え、どの店も長蛇の列で商店街は人、人でごった返す。「ワ、ハハハ!」とマスクの被った少年たちが楽しげに歩き回り、一心不乱にかき氷を頬張る子どもたちの横では、大人たちはビールカップ片手に談笑している。

「みんなに『まこちゃん、まこちゃん』って呼ばれるから。ちゃん(と呼ばれる歳)じゃないけどね(笑)」と店名の由来の質問に気さくな笑顔で応じてくれたのは「ぽん菓子屋まこちゃん」のオーナーの菊池誠さん。同町でポン菓子などを自ら製造し、自社店舗やイベントなどで販売している。

夜市の「ぽん菓子まこちゃん」の店頭には、もちもちポテト、あげぱん、塩麹からあげや、ぽん菓子など、子どもが好きな食べ物が並ぶ。途切れることない注文の嵐に、その日は大人気だったというポテトをひたすら揚げ続ける菊池さん。「来場者の多さにびっくりしました。ここまで人通りが多いのははじめて」と久しぶりの夜市の盛況な賑わいに見を丸くしていた。

【ポン菓子とは?】
ポン菓子は、米などの穀物を加圧&減圧することによって水分を膨張させて、元の大きさの10倍程度にまで体積を膨らましたお菓子。大正から昭和中期頃までは、定番の菓子として子供に人気を博した。出来上がり時に鳴る破裂音から「ポン菓子」と名付けられ、「ドン菓子」と呼ばれることも。膨張した穀物に粉砂糖や水飴をまぶしたやさしい甘みとサクサクとした軽い食感も特徴。

リサイクルショップから変幻自在の“ぽん菓子屋”さんへ

ポン菓子屋事業をはじめる前はリサイクルショップを営んでいた菊池さん。「14、5年前にたまたま、ポン菓子製造機が店に流れてきたんです。最初は遊びのつもりではじめたポン菓子作りでしたが、『他でやっているお店がなく珍しいから』と知人に勧められて続けているうちに、結局リサイクショップを辞めてしまって」と「ぽん菓子屋まこちゃん」誕生の経緯を打ち明ける。

同店の一番人気は「やっぱり売れるのはシンプルの塊」というお米を原料にした昔ながらのおこしタイプ。水あめのほんのりした甘さと米粒ぐらいのポン菓子の固まりは食べごたえあり、その懐かしい味わいについつい食べる手が止まらなくなる。

今回の出店にはシンプルな米のポン菓子に加えて、「玄米」や「もち麦」、「え!?」と一瞬目を疑った「マカロニ」など、変わり種のポン菓子も販売されていた。原材料の穀物の種類を変えるだけではなく、醤油味やチョコレートまぶしてみるなど、味付けに関しても色々と挑戦した歴史もあるとのこと。

なんと、驚くことに新富町のふるさと納税品には、「キヌア」や「粟」などのスーパーグレン(驚異の穀物)のポン菓子を提供しているという。他にもポン菓子製造機を利用して、玄米をさらに煎ることで粉状にした玄米コーヒーを製造するなど、現在菊池さんが自ら考え、製造している商品の多種多様さには驚かされるばかりだ。

菊池さんが今回の取材で最も熱心にお勧めしてくれたのが、7年間の試行錯誤の末のようやく独自の保存方法を確立したという低温熟成の「栗」だ。

「栗はなかなか難しんですよ。いい加減な取り扱いで保存してしまうと、すぐ傷んでしまう。今まで数百キロの栗を捨てたことも。でも、管理をしっかりすれば、栗もそれに応えてくれることがわかりました」

菊池さんが丹精込めて下準備した栗から作る「焼き栗」や「栗きんとん」などは大人気で、昨年は2.3トンもの量の栗が2ヶ月ほどで完売したという。

美郷町と西都産から3トン以上仕入れる今年の栗が店頭に並ぶのは9月中旬ぐらいとのこと。

個人的には「栗ジェラート」が気になって気になって…。この秋は絶対に店舗にお伺いしたいと思います!

チャレンジの原動力はお孫さんと好奇心

終了時刻の21時まで人通りが途切れることもなく、大盛況のうちに幕を閉じた「こゆ夜市」。

「ポン菓子を作るのも疲れるんですよね。夏場は特に大変で、午前中のちょっとの時間しか作業ができない。60歳を越えて、いつまでイベントに出られるかな(笑)」と高温のフライヤの前で何時間も揚げ物を揚げ続けて汗だくの菊池さん。シニア世代となり、体力的にも大変な仕事だという。

しかし、「家に帰ったらすぐに風呂に入って、焼酎をぐびっと飲みたい」と豪快に笑う菊池さんはまだまだ元気そのもの。「孫のために稼がないと」と取材中にふとつぶやく姿に、イベントや店舗販売、ふるさと納税など精力的に活動を続ける原動力の存在になるほどと納得した。

今回の「こゆ夜市」や新富町のふるさと納税の企画・運営など、まちづくりを推進している2014年設立の「こゆ財団」は、同町のビジョンに「世界一チャレンジしやすいまち」を掲げている。今回の夜市でも初出店の多国籍料理のキッチンカーやサバゲー体験など、地域の町市の枠に収まらない特色ある店舗がいくつも軒を連ねていた。

「最近ネットオークションで新しい焙煎機を仕入れました。落花生も煎ることができるんですよ」

新しい機械の導入でさらに広がる「ぽん菓子屋さん」の商品ラインナップに目を輝かせる菊池さん。孫思いのやさしいおじいちゃんの姿だけではない、年齢の壁なんて軽く吹き飛ばす好奇心をビシビシと感じた。

ワクワクを生みだす“まち”で 、“まこちゃん”の心躍るような挑戦はまだまだ終わりそうにない。

菊池さんが「色々あるから楽しいですよ」と話す「ぽん菓子まこちゃん」の店舗情報は、
〒889-1406 宮崎県児湯郡新富町新田16619
電話番号 0983-35-270
Facebook  https://www.facebook.com/PonGuoZiWumakochan/

一般財団法人こゆ地域づくり推進機構

2017年4月に設立した地域商社です。「世界一チャレンジしやすいまち」というビジョンのもと、地域経済の創出に取り組んでいます。主に、1粒1000円の国産ライチのブランディング・販売や、起業家育成塾「児湯シータートル大学」「地域を編集する学校」などを実施しています。

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