1日1組限定の牧場体験や、こだわりが詰まったオリジナルブランドの牛乳「まつうらみるく」など、牧場の魅力を伝える新しいチャレンジに次々取り組んでいる【松浦牧場】さん。
これまでも、たびたび記事でその想いをお伝えしてきました。
プロの料理人も絶賛する牛乳。アメリカ仕込みの酪農ビジネスを新富町で確立したい!松浦千博さん
https://koyu.media/matuura-farm/
今回、松浦牧場2代目・松浦千博さんの母・美知子さんが、牧場での取り組みを宮崎県代表として発表されると聞いて、取材へ行ってきました。
九州・沖縄から関係者が集まる「九州酪農青年女性酪農発表大会」とは?
やってきたのは、宮崎県を飛び出して、鹿児島市内にある鹿児島サンロイヤルホテル。ふっかふかのフロアを踏みしめながら会場へ入ると、九州・沖縄の各県から集まった人たちでごった返していました。
ここにいるのは全員、酪農の関係者。今回行われる「第50回九州酪農青年女性 酪農発表大会」は、酪農の充実・発展を目的とした成果・意見発表の場として毎年開催されており、最優秀者は7月に東京で開かれる全国大会に出場できます。
まず「酪農意見・体験の部」の7名が発表を行い、続けて美知子さん含め3名が出場する「酪農経営発表の部」が始まりました。こちらの部では、経営の安定性・収益性・発展性や、技術水準の高さ、環境や安全性への配慮、地域活動への貢献など、多角的な基準から審査されます。美知子さんはトリを飾ります。
「地域と共に進む酪農」をテーマに、松浦牧場の取り組みを発表
いよいよ美知子さんの番です。はじめに牧場の歩みから、経営改善に向けた取り組みなどを、よどみなく堂々と発表していきます。
酪農経営では、毎日たくさん出る牛のフンをどう処理するかが大きな課題です。松浦牧場さんでは、フンをたい肥にして、たい肥をまいて牧草を育て、その牧草を牛に食べさせるという「命の循環」を特に大切にされており、これを伝える牧場体験の実施、また教育活動を行う牧場として「酪農教育ファーム」の認証も取得したそうです。
また「地域の循環」として、新富町を中心に他の酪農家や肥育農家と連携し、地域の課題解決にも乗り出しています。母牛のお腹に和牛の受精卵を移植することで、酪農家は仔牛の売却価格が高くなり副収入がアップ。肥育農家にとっては、優秀な和牛の安定的な確保につながったといいます。
美知子さんは発表の中で、こゆ財団のことについても触れてくれました。こゆ財団が開催した人材育成のプログラムに、息子の千博さんが参加したことが、新しい人脈や牧場の可能性を再発見につながり、オリジナルブランド牛乳の誕生・この牛乳の新商品開発や店舗への販路開拓・イベントへの積極的な出店といったきっかけとなったと語ってくれました。
今後は、安心安全かつ持続可能な牧場の証であるJGAPの取得、牧場の法人化、千博さんへの事業継承などを視野に入れ、より活動の幅を広げていきたいという意気込みで発表を締めくくった美知子さん。会場からは大きな拍手が送られました。
和牛の受精卵移植が高評価。新富町のチャレンジャー・松浦牧場の結果は…
結果発表まで、酪農に関する講演を聞きながら、机に用意された牛乳やヨーグルト(さすが酪農発表大会!)を口にして待つこと約1時間。ついに審査結果の発表です。
司会者が”最優秀賞は……熊本県の〜”まで言った瞬間、宮崎県の酪農関係者からは落胆の声がもれたものの、受賞者へ盛大な拍手が送られました。
残念ながら全国大会へ出場することは叶いませんでしたが、審査員は「松浦牧場の今後について大いに期待される」と評価。特に、他の農家と協力して先駆的な和牛受精卵の移植に取り組んでいることを挙げ、こゆ財団やその他企業との連携、牧場体験にも注目していきたいとコメントしていました。
「家族を東京へ連れて行けないのは残念ですが、いい経験になりました」
と笑顔で語った美知子さん。お疲れ様でした!
ちなみに、家族・スタッフ全員で遠出するのは今回が初めてなのだそう。この日は宿泊するというので、明日はどこへ遊びにいくのかと思ったら「鹿児島県内の牧場を見学してきます」とのこと。
どこまでも牧場愛が強い、松浦牧場のみなさんでした。
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