• 2018.11.04

高い生産性と寛ぎの両立:宮崎県新富町でできる多様な働き方「Team WAA!」

Team WAA!(Work from Anywhere and Anytime)」
誰もがいきいきと自分らしく働き、豊かな人生を送れるような「新しい働き方」に共感し、実現していこうとする企業・団体・個人のネットワーク。
10月20日・21日に宮崎県新富町を訪れ、現地でできる多様な働き方について実証実験を行ったレポートを共有します。

急かされることのない「非日常」での寛ぎと生産的な時間

ゆったりと流れる時間

羽田空港から宮崎空港に降り立つと南の空が広がっていた。そこから在来線に乗り込み電車に揺られて到着したのは日向新富町駅。屋根のないホームをつなぐ歩道橋から続く線路を見下ろすと何だか懐かしい気分になる。特に何があるということのない駅がさらに、わざわざ来たという感覚を呼び起こす。

数年後にはサッカースタジアムの建設が決まっているということで、こんな風景も今だけなのかな・・・。どう変化していくのかな・・・と思いをはせた。

比較的、日本でも海外でも仕事をこなすことが多い私だが、いつも一つ切ないことがある。「観光が山盛りで、みんなが楽しそうに盛り上がっている中、自分だけが十分に出かけることのできない気分で、仕事をしている時間は、気分転換はできているものの、あまり心地よくはない」そんな経験を多くしてきた。

今回訪れた新富町では、東京でのバタバタとした時間や空間とは異なるけれども、せわしない観光に追いかけられることもない、いつもと違う「ゆったり」とした気分で充実した仕事の時間もとることができた。

コワーキングスペース、こゆチャレンジフィールド(こゆ財団の拠点)内では心地よい空間と共に、Wi-Fiなどの環境が整えられ、サクサクと仕事を進めることができた。清潔感のあるスペース、一歩外に出れば歩道が広く、空が広い空間が広がっている。ただ個別のブースがあるわけではないので、多い人数がいる場合にはスカイプ会議などは難しいかも。

そのコワーキングスペースは、駅から歩くことができるが暑い日、寒い日には少し距離を感じるかもしれない。地元の人は車で動くのが普通なので、公共交通はあまり整備されてはいないが、サッカースタジアム建設と共に整備されていくことが期待されている。そうなると先ほどの日向新富町駅の懐かしい風景を通過することはできないが、宮崎空港でレンタカーを借りるのが良いのかもしれないと思った(新富町での観光にもあった方が便利)。

ワクワクとゆったりの共存

こゆチャレンジフィールドでの出会いには、ワクワクとした気分に。とにかく、ここに関わる人からの刺激をもらった。捉われていない、でも抗うことはない、未来に向かってまっすぐ伸びやかにチャレンジしているその様子には、背中が押されるものがあった。こんなチャレンジのスタイルがあるんだなと感じる。

その周りにはチャレンジしている人の輪ができている。「世界一チャレンジできる町」その町の未来に向かって進んでいることが実感できる。そんな刺激をうけながら、でもゆっくりと流れている時の中で、仕事をするのはとても心地よい。ワクワクとゆったりが共存する場所というのは、そう多くはない。

それぞれが、それぞれの個性を生かしながらそこに関わっている。目的のための手段を創出する感覚がここにはあった。まだまだ少しずつかもしれないが、それが町に還元されている。

もともとの住民全てに受け入れられるというのは、まだまだ時間がかかるかもしれないが、ただ単に「これをやるのが当然、だからあなたもやって当然」といってチャレンジを押し付けているのではなく、自然と溶け込んでいっているのではないかな…と感じる。彼らたちとの触れ合い、対話する時間もオープンに設けられていて、「開かれている」そんな感覚を覚えた。

ワクワクしている人たちに、触れたいという気持ちが自然と生まれ、自然に関り新しいチャレンジが生まれていく・・・。そのための仕掛けをしている。こゆチャレンジフィールドはそんな場所ではないかなと感じた。

きっとこれからより多くの住民の方々と色々な取組が生まれている。その中で、住民から様々なものが生まれてくるサイクルにつながると、もっともっと面白くなるのではないかと感じた。

おいしい!時間

KOYU CAFEでいただいた昼食。新富町自慢の野菜たちがブッフェで食べることができる「サラダブッフェ」をセットにしたカレー。カレーの上にも色とりどりの素揚げされた根菜類がトッピングされていた。とにかく野菜がおいしい!種類も豊富で、体にも優しい。

特に油との相性がとてもよいズッキーニのフリッターは、おかずとしても、おつまみとしても箸が進んでしまう。また、レンコンがとてもおいしく、モッチモッチの食感が後を引く。南の地域と言うこともあるので、夏野菜の種類が多いのだが、これが1年間どんな野菜が食べれるのかな?と思うととても楽しみ。

このKOYU CAFEは、コワーキングスペースから歩いてもそんなに距離はない。商店街の一角にある。ランチも、お茶の時間も両方とも楽しめる。

また近くにはKOYU-IceCreamが。ベン&ジェリーズのアイスクリームが食べられる他、賞を取るような素晴らしいお茶屋さんのお茶を使った「ほうじ茶アイスクリーム」「緑茶アイスクリーム」がいただける。お茶のアイスクリームというのは、実はとても作るのが難しい。その中で、地域の名産をうまく使った「ここだからこそ」の商品が生まれている。香り高くとてもおいしいアイスクリームだった。

実は、このアイスクリームの開発秘話を知ると、チャレンジに来た人×地元の良いものの掛け合わせで生まれたよう。そんな背景を知るとより、おいしさが増す。

また最終日の「こゆ夕市(通常は朝市だそうだが、この月は夕市でした)」でも出店されていた「新富町のやきとり」とてもおいしい焼き鳥で、地元のビールがススムすすむ!これから新富やきとりとして、整備されていくそうなので、これも楽しみのひとつのなった。

また「すごいお茶屋さん」があった。様々な大会で受賞をしているお茶屋さん。新緑園さん。試飲させていただき、過ごしている間に、どんどんお客様がやってくる。家族へのお土産をこちらで購入した。丁寧につくられたお茶を、家に帰り適温で丁寧に入れながら、家族にその思い出を話したいと思った。

古墳いっぱい!?

とにかく私がもう一度訪れて、コワーキングスペースで仕事をしたいと思った理由が、この「古墳群」。車でしばらく走ると、あちらこちらに現れる古墳群。こんな風に古墳があることを見るのが初めてで、その古墳と古墳の間には、民家や畑が普通にある。日常の中に古墳があるのだ。とにかくその光景は面白い。古墳の前にピクニックシートを広げ、娘と一緒に新富町で取れたお米で作ったお握りを食べたいと思った。できれば古墳の上で、やってみたいができるのかな?

とにかく、古墳の量がすごい。大小さまざまな古墳があって、新富町と隣のまちにかけてなんとその総数は207個もあるのだとか!古墳があまりにも、日常に溶け込む風景になっていて言われないとわからないかもしれないほど…。その風景がとても面白い。娘と来たいと思ったのは、古墳を身近に感じられる…そう思ったから。夏休みを利用して、私は原稿を書き、娘は宿題をのんびりとやる。そんな時間を持っても良いなと感じた。

今回うかがった時には、古墳には登ってもよい状態。ちょうど市役所の方々が、古墳の草刈りをしている風景を見ることができた。

まちの変化?

宮崎限定の霧島

1年前まではなかった「朝市」。数か月前まではなかった「KOYU CAFE」。色々なものが変化していく。サッカースタジアムも建設される。そんな変化を楽しみながら、ゆったりとしたときの中で、仕事をするというのも面白いのではないかと思った。

まだまだ変化が起こっていく予感。見たことがない顔がその地を訪れても、よそ者扱いされる感じはあまりない。東京と新富町、そして他の町。どこを本拠にするのかは、まだまだわからないけれども、拠点のひとつとしてなっていくのはとても面白いのではないのか?と思った。