• 2019.01.11

新田神楽の奉納に密着~春日神社例祭~

新富町を代表する「新田神楽(にゅうたかぐら)」が奉納されると聞いて、11月15日、春日神社の例祭にお邪魔しました。秋は、新田地区の各神社で神楽が奉納され、今年は15カ所で舞ったそうです。氏子・崇敬者の繁栄や五穀豊穣を祈念して、神饌にはとれたてのキュウリや椎茸、ピーマン、ショウガなどがお供えされていました。

御神屋の準備も和気あいあいと

境内には御神屋(みこうや)が作られ、新田神楽保存会のみなさんと、春日神社の氏子さん方が準備の真っ最中。クライマックスの「綱切(通称 蛇切・じゃきり)」という番付で登場する大蛇(ヤマタノオロチ)の角の作り方を教えているのは、新田神楽の伶人(雅楽を演奏する人、ここでは神楽を奉納する人)で指導者でもある緒方利幸さん。「もち米のわらが粘り強い」のだそうです。ほかにも、「戸開」の戸の切り絵、御幣などを伶人みんなで作っているところでした。

ちょうど七五三の時期で、かわいらしい子どもたちがお参りに来ているのも、ほほえましい雰囲気です。

お楽しみのせんぐまきは4回も!

10:30ごろから一番の舞を奉納し、祭典の儀式が厳かに行われます。春日神社の創建は鎌倉時代と伝わり、天岩戸開きの際に祝詞を唱えたアメノコヤネノミコトを祀っています。学問成就や家内安全などのご利益がある神社です。

儀式の後、何やら人が集まってきました。お待ちかねのせんぐまき(餅まき)です。近所の人や子どもたちはもちろん、伶人もみんな、袋を手に手に本気モードでびっくり!

紅白の餅やポン菓子、飴などのほかに、番号札が付いた餅もまかれ、焼酎や米、日用品などと引き換えるのです。せんぐまきは、神楽奉納の最中にも、13:00、14:30、15:30頃と計4回もありました。

周りの人も一緒に参加できるのも楽しい!

にぎやかになってきたところで、お昼を挟んで、神楽の奉納が始まりました。「鬼神」の舞や2人で舞う「繰りおろし」、荒神舞、3人で剣を持ったまま舞う「岩通し」などが続きます。

見ていると、舞の途中、氏子さんが何度も御神屋に乱入。神様が手に持っている幣をもらいに行くことができるのが、春日地区での特徴なのだとか。掛け合いの息もぴったりです。

地元の人は御神屋の周囲の席に陣取って、地元のお母さんたち手作りの煮しめやなますなどをつまんだり、お酒を酌み交わしたり。

「いい雰囲気でしょう。ゆっくりしていきなさいよ」と、宮司の本部享さんに勧められるまま、すっかり寛いでしまいました。西都から来られるという集落出身の方は「毎年、いろいろ手作りして、みんなに持ってくるのよ」と教えてくれました。

神楽をつなげていくために

勇壮な三人舞「岩通し」を舞う29歳の大木彰悟さんは、小学5年生から緒方さんに神楽を教わっています。一緒に舞う緒方さんは「最初の教え子。伶人が8人ぐらいに減ったときで、危機感を持っていました。小学校で授業を始めたころです」と振り返ります。

大木さんは「神社で友達の舞を見て、かっこいいなぁって。このとき、緒方さんが舞で使う弓矢を作って遊ばせてくれた。まんまと釣られました」と笑います。授業では岩通しの動きが上手くできて、すっかりハマったそうです。

この小学校の授業は、今も続いています。その甲斐あって、保存会のメンバーは現在、20代前半から60代後半まで、16人になりました。小学生4人、中学生2人も立派に務め上げます。

毎年2月17日は太々神楽奉納

2月17日(日)に新田神社である太々神楽(だいだいかぐら)では、5:00〜17:00まで、子どもたちも入って、全33番の神楽を奉納します。

特にクライマックスの「蛇切り」は見逃せません。春日神社例祭の蛇切りでスサノオノミコトに扮し、ヤマタノオロチを退治した大木さんは「練習がイヤだった時期もあるけど、今は、この神楽をなくしたくないと思う」と真剣な表情。緒方さんは「神様になりきれるかどうか。魅きこまれるような舞を舞いたい」と語ります。

太々神楽でまた、気持ちのこもった舞が見られることが今から既に楽しみです。