広島の元・漁師が育てる“JAこゆ牛”。夫婦二人三脚で苦難を乗り越え30余年『山本畜産』

農業

「生き物が好きなのよ」。

明るい笑顔でそう語るのは、山本畜産の奥様・美也子さん。

数々の苦難に遭遇しても、牛飼いを辞めなかった新富町の山本さん夫妻は、32年にわたり牛の肥育農家をしています。

以前は広島で漁師をしていたご主人・山本嘉寿視(かすみ)さん(59)は、27歳の時に奥様の実家の仕事を手伝うため宮崎県新富町へ。若くして他界した義父の後を継ぎ、牛を育てる仕事がスタートしました。

こゆ牛担当のJA職員・松永さん(写真/中)と山本さん夫妻

 

—新富町に初めて来た時の印象は?

「田舎やな〜って思いましたよ(笑)。国道から少し入ると、街灯もなく真っ暗でしたから」。

30年以上前ですから、確かに今よりも夜は真っ暗だったでしょうね。

「それよりも、野菜が美味しいのにびっくりしましたね〜! 私は広島じゃあまり野菜を食べなかったのに、新富ではどの野菜を食べても美味しくて」。

その点で言えば、昔も今も変わりません。新富町は美味しい野菜があふれています。

そんな第一印象から始まった、山本さんの牛飼い生活。傍らには、いつも美也子さんの笑顔がありました。

1頭の牛の誕生から始まった、牛と向き合う日々

“ぬれ子”と呼ばれる、産まれたばかりの子牛を買ってきて、生後9カ月くらいで子牛のセリに出して売ったり、出産の終わった経産牛を肥育したりと、美也子さんの実家では、いろんな形で牛を育てていました。

美也子さんのお母さんから牛の育て方を教えてもらっていた山本さん夫妻。ある日、子を産まないと思っていた経産牛から子牛が産まれ、山本さんが飼育を担当。1頭では効率が悪いから2〜3頭買ってきて一緒に育てたら?とお母さんに勧められたことをきっかけに、牛は徐々に増えていきました。

3年経ち、夫妻は独立。 「子牛が増えて、80頭〜100数十頭の子牛をミルクで育てました。人手が足りなくなりパートで来てもらったりするようになりましたね」と美也子さん。

3人の子宝に恵まれた夫妻は、子育てと牛の世話で寝る暇を惜しむほどの忙しさ。それでも部活動の大会応援などには、パートさんに支えてもらいながら極力足を運んだそうです。 「生き物を扱う仕事は、決まった休みが取れないところが、やはり大変だったかな」と嘉寿視さんは振り返ります。

「牛は何も言わないけれど、毎日牛を見ていると体調不良など感じ取れるようになります。それを見逃さないために、やっぱり牛は自分の目で1頭1頭見たいんですよね」。

生き物好きの美也子さん、忙しくても手を抜けない性分のようです。

毎日観察して、体調の変化にはいち早く対応。「見てわかるまで10年は必要かな」と山本さん夫妻

「牛が好き」だから乗り越えられた試練

しかし常に順風満帆とはいかないもの。 狂牛病の発生では子牛の移動が禁じられ、大きくなりすぎて売れなくなったり、口蹄疫では借り入れをして100頭近く増やした牛を含め全頭処分。一緒に飼っていたポニーだけが、生き残れたのだとか。

規模拡大に踏み切った矢先の全頭処分…。落ち込みながらも、被害を最小限にくい止めようと、農家仲間で歯を食いしばって処分作業を急いだそう。

辛い試練に見舞われ、激しく落胆した山本さん。「もう辞めよう」という思いに駆られた時、前を向かせてくれたのは美也子さんと三女の夏実さんでした。

「牛、またやろう!」。

その言葉に山本さんは奮起し、再開を決意しました。

その不屈の精神は一体どこから? 「うーん、やっぱり牛が好きなんですよ。生き物全般大好きなんです」と美也子さんは笑顔で話します。

自身の子育てをしながらの牛飼いは本当に忙しい日々で、「どうやって子育てしたか覚えてないくらい(笑)」。でも育った3人の子どものうち、長女は一緒に働き、三女・夏実さんは同町内に新規就農で独立、牛を育てています。二人の働く姿と牛たちへの愛情が、子どもたちへしっかりと受け継がれているようです。

口蹄疫後も生き残ったポニーの子孫は今も元気に

山本畜産は2018年4月より法人化。後継ぎとなる三女の夫・山本高弘さん(左)と

新富発のローカルブランド“JAこゆ牛”

宮崎で育てられる牛は、“宮崎牛”の条件を満たせば「宮崎牛」として売られますが、同じランクでも条件がそろわず「宮崎牛」を名乗れない牛も。新富町の肥育農家とJA児湯、そこに近隣の肥育農家も加わって、その牛を“JAこゆ牛”としてJAが買い取り直売することで、比較的安価で質の高い牛肉が提供できています。

「宮崎牛より買いやすいので、ぜひ地元の人たちにも食べて味わってほしいですね」と、JA児湯肥育牛部会の会長でもある山本さん。最近はふるさと納税返礼品としても人気が高まり、このローカルブランドをさらに盛り上げていこうと、部会の仲間たちと切磋琢磨の日々を過ごしています。

—オススメの食べ方は? 「肉のうま味を味わってほしいから、しゃぶしゃぶが一番かな。さっぱりポン酢で食べるのがうまいです」。

近くの方はJA児湯農畜産物直売所ルーピンへ。遠方ならふるさと納税の返礼品でチョイスして、ぜひ味わってみてください。

一般財団法人こゆ地域づくり推進機構

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2017年4月に設立した地域商社です。「世界一チャレンジしやすいまち」というビジョンのもと、地域経済の創出に取り組んでいます。主に、1粒1000円の国産ライ...

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