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Café Kiitosのあるまち 宮崎県新富町のカフェ(1)〜プロローグ〜

1:プロローグ

食べる場所もないだろうからと、コンビニで買ったおにぎりをカバンに詰め込み、初めて新富町総合交流センター〝きらり〟に着いたとき、「しまった」と思った。
まさかまさか、こんな辺鄙な、しかも公共施設の中にこんなにおしゃれなカフェがあるなんて。

それでも「せっかく買っておいたおにぎりだから、今日のお昼はそれですませよう」と思ったのも束の間、ショーケースからのぞく健やかで美味しそうな食べものと、店全体から溢れ出るエネルギーに、気づけば〝野菜サンドとスープ〟のセットを注文していた。

カウンターの内側でテキパキと働くのは、このカフェを切り盛りする 緒方 生寿恵(オガタ イスエ)さん。
国産小麦・佐賀のきび糖・日向産の塩・自然卵・新富産の野菜など地元で採れた旬で安心な食材にこだわり、ベーグルやサンド、スイーツなどを提供している。

家業のきゅうり農家を継ぐため、旦那さんの実家である新富町に移り住んだのは6年前。

住みはじめてびっくりしたことは、地元の人たちがものすごく〝新富愛〟が強いこと。はじめはそれが不思議だった。
でも「暮らし始めてだんだんとわかってきた」とイスエさんは言う。

「みんな新富を盛り上げようって頑張ってる。イベントや朝市も多くて、その流れで私も一緒に盛り上げたいなって思うようになりました。」

ベーグルを通して伝えたいことがある

宮崎県は、手作り市やオーガニックマルシェなどのイベントが盛んな土地柄。当初は子育ての傍ら毎週末、県内のイベントやマルシェに出店していた。

「はじめの頃は、お小遣いかせぎにと思って楽しんでやっていました。」

イスエさんはキラキラと当時を振り返る。

「新富のいいところは、野菜が美味しいこと。これを使ってベーグルサンドを作りたかったんです。でもその当時、ベーグルをしらない人も多くて、『ドーナツなの?』って聞かれることもありました。出身地の愛知や以前住んでいた浜松はベーグル専門店とかたくさんあったんですけどね。」

イスエさんいわく「健康オタク」の父親の影響もあり、昔から食に対するこだわりがあった。でも、あれこれ難しいことをいうよりも、シンプルに作られたベーグルを通して身体にいいものを伝えていきたかった。

「それに、やっぱりお母さんって共感できる人と繋がりたいんですよね。子育てや食べものの情報も共有したい。そういう場を作りたかったですね。」

子どもは3人欲しいと思っていた。3人産んだらやるぞ!と思って、カフェオープンに向けて自宅の庭に工房兼店舗の準備をはじめていた。でも、いざやり始めるといろいろな問題が持ち上がった。駐車スペースが必要だったり、お客様用のトイレもつくらなくちゃいけなかったり…

ちょうどその頃、新富町ではコミュニティ施設の建設に向けた計画が進められていた。
センター内でのカフェ事業者募集の話が知人伝いに舞い込み、イスエさんは思い切って手を挙げた。

「いずれ新富町で何かやりたい、と思っていたし、3人目を産んだときにもうやるしかないなって思って。」

公募の後、町民からの審査・選考があり、見事選ばれた。旦那さんが設計の仕事をしていたこともあり、店の設計を担当。着々と準備が進んでいった。

図書館と併設しているカフェでは、借りた本を読みながらコーヒーを飲む人。オーダーを待っている間にちょっと図書館を覗きに行く人。学生たちが自由に勉強していたり、パソコンを持ち込んで仕事に打ち込む人たちがいたり、いつも賑わっている。
イスエさん自身も本が大好き!とくれば、結果オーライだったということは言うまでもない。

店の名前は「Café Kiitos(カフェ キートス)」。フィンランド語で「ありがとう」という意味だ。


つづく

Café Kiitosのあるまち 宮崎県新富町(2)〜使命〜

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