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スタディサプリAI研究所所長が語るこれからの教育:地域教育の未来を語ろう

2019年7月27日(土)新富町総合交流センターきらりにて、教育・地域教育関係者に向けたイベントが開催されました。

講師に、テクノロジーや世界教育事情に精通する、国立大学法人 東京学芸大学大学院准教授で現在50万人が利用しているスタディサプリAI研究所所長の小宮山利恵子さん、宮崎公立大学人文学部国際文化学科助教の市村陽亮さんの2名を招き、国内教育の課題や今後の地域教育などについて話してくださいました。

イベント直後、アイスブレイクの様子

今の教育に大切なのは“つまづかない”問い

小宮山さんが「未来を創るゼロイチ人間の育て方」をテーマに登壇。冒頭で株式会社リクルートの取り組みやこれまでの事例などを紹介していただきました。

本題に入る前、今の教育に必要なことについて小宮山さんは…

現在の日本の教育体制では一度勉強につまづくと、そこから先ついていくことができません。そこで求められるのはつまづかない問いです。
本人が考えてギリギリ理解できる問いを与えることが今後重要になってきます。

と、現在の日本の教育について考えを述べてくださいました。

すぐそこまで迫る教育改革

本題に入り、AI(人工知能)と5G(移動通信システム)の2つをテーマに小宮山さんよりお話いただきました。来年起こる教育の大改革を控え、小宮山さんは、

2020年の教育改革では、
①主体的な学び、プログラミング教室
②外国語活動の導入、英語の教科化
③多目的・総合的評価、記述式、英語の4技能評価
が主な軸となっていくと言われています。

この背景には、大きな世界の流れが影響しています。
AIと人間が共存していく時代がすでにきているのです。

生活に欠かせないAIの技術

AIという言葉は昔からあったのですが、当時はデータの質が悪く実用化することができませんでした。しかし、現在はデータの質も向上し様々な面でAIが活用されています。
リクルートでは採用にAIを活用。数万件のエントリーシートが送られてくるため全部を人の目で見ることができないので、最低ラインを決めてAIに判断してもらいます。
また、入社してその人が会社にどのような影響を与えるかまでAIに分析してもらうということもしています。

AIが人の仕事を取るという話もありますが、全体の5%にも満たないと言われています。AIをうまく利用して共存することが今後の関わり方。
教育の部分では、AIを利用し教育をする中で子供達と一緒に伴走してあげる存在が必要。そのような時に先生が必要とされると考えています。

高速・大容量通信で外部との交流を容易に

学校教育の変化という点で、5Gの導入を例に小宮山さんは、

また、現在携帯電話などの電波は4Gを利用していますが、今後5Gが導入されます。
大きなメリットは、スピード・反応が早くなり、容量が大きくなること。この技術が導入されることで、教育の現場に動画の教材がメインになると言われいます。

更にVRを利用することで、東京の人が新富町の町並みや観光地を疑似体験できたりするので、外の情報をよりリアルに得ることができるのです。
そのような変化を受け入れ、柔軟な対応が求められる時代になります。

ツールや考え方が違う現代

これからの教育で、生徒と先生の関係について重要なことがあるそうです。小宮山さんと息子さんの会話を例に話していただきました。

私の息子にフロッピーディスクを見せると「トレーディングカード?」と言われ、ミシンを見せると「最新のレーザーカッター!欲しい!」と言われました。

つまり、現在の子供達と私たちとでは必要なツールが違うのです。ツールが違うということは考え方も変わります。この事実を認めた上で子供達と接することが重要です。

これからの子供たちに必要な力

これから求められる教育の現場に必要なのは体感と体験を高速で繰り返すこととして、話を終えた小宮山さん。その後、市村さんと共に今後の地域教育をテーマに対談を行いました。
市村さんは大学の助教としてゼミの学生に与え続けている言葉があると言います。

「考える」ことができる人を増やすことが重要だと考えています。
「考えるとは何ですか?」という質問をすると、初めて考えるとは何かと考える。これは普段から問いを持つことなのです。問いを持ち続けることで、考えて自分で判断できる力を身につけてもらいたいですね。

問いを持つという話を聞いて、小宮山さんは、

問いという点では、子供達に自由研究の考え方をもう一度考えてもらいたいと思います。やり方を変えるだけで、子供達にもっと影響を与えることができると考えているからです。

なんとなく間に合わせで終わらせるのではなく、自分の「好き」を研究・追求する。そうすることで、この時間はもっと有意義なものになるのです。
仮に小学生から高校生まで1つのことを研究し続けることができれば、高校卒業する頃にはその分野で博士になれることだって夢物語ではありません。

教える教育ではなく、学びあい好きに水を与え続ける教育

お二人の対談を終え、参加者からの質問が飛び交いました。
その中で目立ったのが、先生が学んでこなかった科目の教え方や、好きなことが見つからない子供達への対応です。

教えるというワードに対し、小宮山さんは、

教えるということがもう古いと思うのです。教えるというのは一方通行。
これからは、生徒と先生が学び合うという相互通行が必要なのです。大人より長けた才能や知識を持つ子供達が多く存在する中、これからは双方が学び合うというのが重要なのです。

と、答えてくださいました。また、好きなことが見つからず、将来に不安を抱えている子供達への対応について小宮山さんは、

好きなことを見つけても、何もしなければ気持ちは薄れてしまう。私は「好き」と「植物」は同じだと考えています。
好きという種を見つけたら、水を与え続ける。しかし、同じように水をあげても早く芽が出るもの、花が咲かないものなどがあります。
ちょっとでも好きを見つけてたら、人目を気にせず水を与え続けることがその子にとって自分らしい生き方につながると思うのです。

その話を聞いた市村さんは、

私も似た考えを持っているのですが、まずやってみるということを重要視しています。やってみなければ本当に好きなことは見つからないと思うからです。
実際、進路選択をするとき、経験したこと以外は参考にならないと考えているので、その時に困らないよう、とにかく人目を気にせずやってみてもらいたいですね。

子供だけでなく、大人たちも現在の教育、子供達との関わり方について寛容さを持って接することが重要だと考えさせられた対談でした。

薄れてきた地域教育

子供達との関わり方は、地域教育にも大きく影響しています。
これからの地域教育について、市村さんは、

地域教育というのは昔からありました。特に商店街が充実している地域では少年犯罪が少ないという統計も出ています。その要因は地域の目。
親以外でも、商店街のおじちゃん・おばちゃんが「そんなことしたらダメだよ」と、犯罪を未然に防いでくれるからです。これも地域教育の1つだと考えられます。
今は地域というものが崩壊している場合が多いので、改めてそこを見直す必要があると思うのです。

大学生が考える「地域に帰りたくなる仕組み」とは?

では、地域を以前のようなカタチ、あるいは新しい地域を作るためにどのような取り組みができるのでしょうか?

宮崎公立大学の生徒たちは、こゆ朝市への参加を通して、新富町を舞台に「帰りたくなるまち」をテーマに調査を続けてきました。

今回はそんな生徒たちの集大成として、イベント参加者に対し計3組がプレゼンを行いました。

盆踊りで地域に思い出を根付かせる

1組目はタピオカチーム。こゆ朝市ではタピオカドリンクを販売し、地域活性化を狙いました。
朝市を終えたタピオカチームは、このようなことを考えたそうです。

タピオカは、一時的なブーム。いつかは廃れてしまう流行りだと考えたのです。そこで、地域に根強く残す伝統を残したいと考え、盆踊りを提案します。若い方からご年配の方までが気軽に交流することができ、お互いの関係性を深めることで、関わった人や思い出を求めて帰りたくなるまちを目指します。

オシャレで地域活性化

2組目はネイルチーム。こゆ朝市ではネイルサロンを出店しました。
ネイルサロンで帰りたくなるまちを目指すネイルチームは、

東京に行った新富町出身の女性が、都心での生活に疲弊していたとします。そんな時、こゆ朝市の映像を見て、ネイルサロンの様子が放送されていたら、「新富町もオシャレになったな。帰ってみようかな」と考えるのではないかと思うのです。
また、実際に出店してみて、幅広い層の方がネイルに興味があることも分かりました。オシャレをすると外に出たくなる。その延長で町全体が活気付くのではないかと思うのです。

まずは一度行ってみる

3組目はウミガメチーム。アカウミガメの産卵地でもある新富町の富田浜を守る活動をしようと挑戦しているチームです、ウミガメチームは統計を元に、

都心部で生活する6000万人のうち、3000万人が地域に住んでみたいと考えているという統計が出ています。今回私たちはこの人たちを、どのように地域に呼び込むかをテーマにして考えました。至った結論は、まず来てもらうということです。新富町にはすでに素敵なものがたくさんあります。そこで私たちは大学生をターゲットに新富町で体験型の宿泊イベントを企画し、実際に集客を行いました。諦めずに声をかけ続けたら十五人の学生が参加を表明。残念ながら台風で中止になってしまいましたが、貴重な経験ができました。

参加者が考える帰りたくなるまち

3組それぞれプレゼン終了後に、小宮山さんと市村さんより講評。改善点も挙げられましたが、全体的に劇を交えたプレゼンや統計をもとに算出したデータなど分かりやすいと好評でした。

イベントの最後は、参加者全員で考える「帰りたくなるまち」。同じような考えを持つメンバーでチーム分けをし、ディスカッションを行った上でチームごとに発表を行いました。

初めて顔を合わせる人が多い中、イベント始めのアイスブレイクで緊張をほぐしていた影響もあり、積極的に意見が飛び交い、お互いに刺激を受け合う時間となりました。

イベント終了後は、小宮山さんの著書「レア力(りょく)で生きる」が配布。これからの地域のあり方について、改めて考える場になり、イベント終了後も参加者が意見交換している姿が目立ちました。

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